死にたくなかった女たち
頭が痛む。また、悶え苦しむ女が浮かぶ。叫んでいる、のたうっているではないか!女は全裸で…どうしたんだ?おれは声をかけた。女の出る悪夢と頭痛、これは明確に、あることのきざしである。助けてやらねばならない。が、そのまま目覚めずに、おれは奈落の底に落ちたように意識を失った。予知夢というのだそうだ。不可思議な能力を、おれは授かったものだ。京都の、由緒正しい神官の家に伝わる、その能力が、貧しい、駆け出しの役者のおれを、つき動かす。そしておれは「死にたくなかった女たち」の、その艶かしい軌跡にのめり込んで行き、事件を解明する。-乱歩賞受賞作家が、富豪の女を脇役に、奇妙な行動で探偵役を操る、ひと味ちがった連作長編ミステリー!