ビルマに見た夢
第二次世界大戦下、ビルマの山村地帯で兵站勤務に就く軍曹の西隈。現地の労務者をまとめてゆくなかで直面した、想定外の出来事ー。日本軍はペストの予防接種を進めようとするが、部落の長老は頑なに拒む。そんな長老に対し、軍医見習士官が演説を打つ。その内容は、ビルマ人にとってあまりに辛辣で不敬なものであったが…。「仏道に反して」。ビルマ人は労務でもロンジーをはく。肉体労働には適さない腰巻きのようなその衣服、そして長時間の昼寝。労務者から昼寝を取り上げようとする西隈に、部落長が放った言葉とは?「ロンジーの教え」。今を生きる私たちこそ、痛烈に胸を衝かれる五編。