雪血風花
家族のために生きるのは「孝」、主君のために死ぬのが「忠」。男たちは、その狭間で懊悩する。赤穂浪士の武林唯七は主君の仇敵・吉良上野介を討ち取った男でありながら、「赤穂一の粗忽者(おっちょこちょい)」と呼ばれ愛されていた人物だった。そんな唯七を軸に、ときに主君のために涙し、ときに友と酒を酌み交わし、ときに家族への想いに仇討ちへの参加をためらうー人間くさい四十七士たちの物語。300年近く前から愛されつづける「忠臣蔵」に新しい解釈を加え、今を生きる私たちとも共通する普遍的な人間の営みを描いた傑作時代小説。