魔炎
三伸建設設計課一級建築士・田中浩一は、ある夜、中学高校が同窓で、今は東聖大学法医学教室の古屋一郎の訪問を受けた。「緊急に信用できる人間に会いたいのだ」と古屋は、緑色の百円ライターを机の上に置いた。その目の前のライターこそが、法医学者・古屋の研究成果であった。それは「原爆、水爆よりも恐しい科学兵器なのだ」という。その兵器とは。
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三信建設設計課一級建築士・田中浩一は、ある夜、中学・高校が同窓で、今は東南大学法医学教室の古谷一郎の訪問を受けた。「緊急に信用できる人に会いたいのだ」といって古谷は、緑色の百円ライターを取り出して机の上に置いた。そして田中が、煙草を吸うためにそのライターに触れようとすると「それに触っちゃいけない」と声を荒らげ「僕はあるグループに追われている。ある研究の成果が素晴らしく軍事目的に使用できる」と付け足した。法医学者の夢を満たすどころか、原爆・水爆よりも恐しい科学兵器なのだ、という。最後に古谷は「目の前の、そのライターだよ」といって口をつぐんだ。人類が初めて出会った、その兵器とは。 1991/10/01 発売