破滅の王
一九四三年、上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄を誇ったこの地も日本軍に占領され、かつての輝きを失っていた。上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本は、日本総領事館からある重要機密文書の精査を依頼される。驚くべきことにその内容は、「キング」と暗号名で呼ばれる治療法皆無の細菌兵器の論文であり、しかも前後が失われた不完全なものだった。宮本は、陸軍武官補佐官の灰塚少佐の下で治療薬の製造を任されるものの、即ちそれは、自らの手で究極の細菌兵器を完成させるということを意味していたー。
関連小説
破滅の王破滅の王
一九四三年、上海。かつては自治を認められた租界に、各国の領事館や銀行、さらには娼館やアヘン窟が立ち並び、「魔都」と呼ばれるほど繁栄を誇ったこの地も、太平洋戦争を境に日本軍に占領され、かつての輝きを失っていた。上海自然科学研究所で細菌学科の研究員として働く宮本は、日本総領事館から呼びだされ、総領事代理の菱科と、南京で大使館附武官補佐官を務める灰塚少佐から重要機密文書の精査を依頼される。その内容は驚くべきものであった。「キング」と暗号名で呼ばれる治療法皆無の細菌兵器の詳細であり、しかも論文は、途中で始まり途中で終わる不完全なものだった。宮本は治療薬の製造を任されるものの、それは取りも直さず、自らの手でその細菌兵器を完成させるということを意味していたー。 2017/11/24 発売