女郎蜘蛛
時は退廃の風たちこめる大正末期。帝大生、蒲生鉄哉のもとにもたらされたアルバイトは財閥の総帥、北畠家での住み込みの仕事だった。不吉な死の匂いの漂う館には、夜な夜な縄で責めさいなまれる二人の美少女と淫蕩な未亡人、そして北畠家乗っ取りを謀る後見人が棲んでいた。娘たちの調教を強いられた鉄哉はみずからの命をかけて、彼女たちを救い出そうと決心するが…。陰謀と肉欲がうごめく長く暑い夏の日々のよどんだ均衡を破ったのは毒薬と銃声の饗宴だった。
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比類なき大江戸暗黒小説。鬼才・富樫倫太郎の渾身作、ついに登場!時代小説の面白さの軸をなすのは熱気と筋立てである。破天荒と緊張とリアリティの三つが融合して燃え盛っている。どの登場人物にも火がある。その連続の爆発が心地好い。これに眩暈を覚えない読者は一人もいないだろう。 2001/07/30 発売