武蔵隠密剣 関ヶ原異聞
天下分け目の関ケ原。この日本を二分する合戦の前夜、豊臣恩顧の一群の大名が密議を凝らしていた。黒田如水を旗頭に、第三の勢力を形勢し、徳川方に挑もうとしたのだった。頼りとするのは、十余年前に伴天連が企てた幻のキリシタン王国の軍資金。十一年後、その時の連判状『祇面音密巻』がふたたび嵐を呼び起こした。それぞれの思惑を密めた七大名が、連判状の回収を始めたのである。関ケ原の合戦で、たまたま連判状の存在を知った旅の武芸者宮本武蔵が、この連判状の回収と南蛮の金銀財宝を求めて立ち上がった。幕府子飼いの裏組織「裏柳生」が、大坂方の忍者集団「甲賀赤蜘党」が、そして大御所家康が直々に選びだした超弩級の刺客が、武蔵の命を狙う。武蔵は、果して七巻の連判状と南蛮財宝を奪取できるのだろうか。