小説むすび | 明日なき山河

明日なき山河

明日なき山河

それはふたりだけで歩く、傷心のトレッキングのはずだった。父子は山野に刻まれたトレイルを踏み、人生を語り合う旅を続けてきた。山小屋に着いた彼らの眼前で、予期せぬ出来事が起こった。武装した凶悪な殺人集団に、女子大生が拉致されたのだ。罪なき者の死を許せぬ父は、命がけの追跡を開始する。十六歳の息子にある使命を託して。少年はたったひとり、絶望の森を駆け抜ける。しかし、エスケープルートが崩壊し、救援を呼べないと悟ったとき、想像を絶する大自然の脅威と武装グループに対して、少年は単身立ち向かうしかないことを悟る。それは父子に課せられた大いなる試練だった。

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