小説むすび | PKF太平洋戦争

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不倫カップルのような二人がとまり木に座ってこそこそやっている。ハリウッド女優もひれ伏す女の美貌に、男たちは目を奪われずにはいられない。「先生、タイヘイヨウセンソウのヘイワイジはウマクいくのでしょうか」「すべては『彼』しだいさ」男が煙草をくわえると、バーテンダーがライターの火を差し出す。「ドライ・マティニーを二つ。あっ、オリーブは…」抜いておきます、とバーテンダーは男にピースサインをして、離れた。「いよいよ明後日だね。大正十五年への旅」窓の外には「氷川丸」のイルミネーションがきらめいている。いや、たしか今年から船上レストランは「みかさ」に変わったはずだ。台風十四号が近づいている、となぜだか嬉しそうに話す客の声が聞こえた。

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