六月のカラス
東京原宿午前4時、始発直前の地下鉄表参道駅の線路上で、カラスについばまれた無惨な男の刺殺体が発見された。前夜終電後、シャッターに閉ざされて完全密室となった駅構内での殺人事件だった。地下鉄開業以来60年、前代未聞の出来事に、営団首脳部はエリート広報課員藤林を警察に派遣、捜査の協力にあたらせた。地下の鉄道網に精通する藤林は、構内に入り込んで死体に群がり、そして忽然と消えたカラスに着目、事件解明の突破口をつかむ。だがその矢先、地下鉄日本橋駅で第二の殺人が……。地下鉄道の特殊な構造が生む無気味な闇の中で、恐怖とミステリーが交叉する事件の真相は!?