出雲の神の娘
6世紀後半の倭国。出雲王朝の血を引く継体大王が、謀殺されてから約四十年の後。大和の豪族三輪氏に、その血を引く媛が誕生した。久麻里媛と名付けられたその子は、朝廷の迫害を恐れた父、稚見磨呂により、三輪氏に仕えるサンカの手に密かに預けられた。そして9年の月日が過ぎ、12歳となった少女クマリは、大和を遠く離れた須羽の地で、自らの運命も知らず、サンカの長、白火の娘としてすくすくと成長していた。朝廷の奉じる天津神と国津神の対立、そして新たな神「仏」を巡る蘇我氏と物部氏との争い。騒然とした時代を背景に、出雲の神宝、龍鱗の勾玉を継ぐべく運命の少女クマリは、大きな歴史のうねりに巻き込まれていく-。新鋭が活写する大型歴史ファンタジーロマン。