小説むすび | 曳舟の道

曳舟の道

曳舟の道

秀吉の朝鮮出兵が始まった頃のこと。京の一商人・角倉了以は朱印船貿易を終えた帰途、備前・吉井川で人生を変える出来事に遭遇した。了以は、舟子が「ほ〜いほい、ほ〜いほい」と掛け声を上げながら、上流へ舟をひっぱり上げる光景を目撃したのだ。かねてより了以は山城の北西部、大堰川・保津川に水運を開けば人々のためになると考えていて、その方法がわからず悩んでいたが、奇しくもこの光景がその方法そのものだった。しかし戦国の世はまだ収まらず、了以の思いは子の素庵を巻き込み家業もなげうった末、ようやく十三年後に達成される。さらに父子は富士川や高瀬川開削舟運にも着手すると、豪商へとまっしぐらに進んでいくー。「京都の水運の父」として歴史に名を残すことになった父と子の生きざまを描く歴史長編。

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