風の交響楽(シンフォニー)
偉い魔法使いも、何も出来ない魔法使いも、時の流れの前にちりとなって消えた。だが、ほかのすべてが失われた後で、何もできない魔法使いの名だけは、詩になり歌になり、語り継がれて 決して忘れられることはなかった。
優しさもせつなさも、生きるための大きな恵み。小さかったあのころのピュアな思いを呼び起こすファンタジー集。
春:朝露の石、塀、神様の言うとおり、何もできない魔法使い
夏:雪の花、海を見たカシの木、悲しみは海に、銀鈴砂の音
秋:白い翼、ベッドの裏側の国、散らない桜の木、僕のミッシェルおじさん
冬:まいごの犬、預かった袋、アラバスターのファンデーション、「俺のかあさん」、風の声