すべてを失った男が彷徨のすえ、熱帯で見出した無垢な愛と自己の再生。感動の長編小説。
バブル崩壊による銀行破綻に連座して逮捕され、すべてを失った元エリート・柏木雪雄。獄中で見る夢に、とうに捨て去った過去の「秘密」が甦ってくるのを感じ取る。秘密の鍵は幼い頃過ごした熱帯の中にある。出所した柏木は記憶にはない父親の像をたどってミンダナオ島のカリナンに向かった…。ベストセラー小説『プラハの春』の元外交官作家が鋭く問いかける、戦後日本人の「来し方」。 2005/10/25 発売