故郷のダムに弟の溺死体が上がった日、姉は下町の病院でひっそりと息を引き取った。戦争の忌まわしい傷跡をさらして生きる弟と必死で生きた姉-著者は、庶民の暮らしの目線で“戦争”を静かに告発している(お稲荷さんの横丁には-千住宿姉弟心中譚)。