小説むすび | 【POD】弁護士山本健一郎

【POD】弁護士山本健一郎

【POD】弁護士山本健一郎

社会から見捨てられたと感じたことから、日本に対する復讐劇は始まった、捨てられた子供たちを自らの懐に入れ保護し、社会に飛び立たせていった。子供たちも山本健一郎を慕い、いつしか新禄山会が構成されていった。父から引き継いだ志を胸に不合理な社会へと戦いを挑んでいった。父親である山本泰山は日本禄山会を率い、関東を制覇し、その構成員も一万名を超えていた。暴対法施行以来、日本禄山会の鎬も年々厳しさを増しており、日本禄山会本部から緊急幹部会議の呼び出しがあった。日本禄山会の創設以来、めったに開かれることの無かった幹部会議に幹部たちは疑心暗鬼に陥っていた。幹部会で告げられたことは、日本禄山会を解散するというものであった。幹部たちは解散が何故今なのか、泰山に詰め寄ったが、泰山の意思の揺らぐことはなかった。関連企業も代表者がオーナーになり日本禄山会の財産を譲られたが幹部の泰山に対する忠誠は鉄壁を誇っていた。暫くして、テレビニュースにより、泰山邸が全焼し、その焼跡から男性三名、女性一名の焼死体が発見され、山本泰山本人と妻陽子、身元不明者の男性二名とされていた。泰山の死後、その実子健一郎は幹部夏目の養子となり、夏目健一郎を名乗ることになった。山本泰山亡き後、長男の健一郎は常に世の中の不合理を憂いていたことから司法試験を目指し、裁判官になることを望んでいた。健一郎は東大へ進学後、司法試験に挑戦し、トップ合格を果たし、裁判官を目指したが、山本泰山の息子であることから成績優秀にも関わらず、任官は見送られることになった。健一郎の人脈から数名の弁護士が一緒に弁護士事務所を開くこととなり、弁護士法人翼が誕生した。受診に行った病院で医師の加藤愛と出会い、愛がボランティアで孤児院の診察を行っていたことから施設の状況を知り、NPOを立ち上げ、自らの財力やグループの力を使い施設の運営に乗り出す。日本禄山会の資金力を背景にした施設運営は子供たちに最適な環境を提供することができ、大学まで施設にいることを許可し、大学生となった者には子供たちの勉強を見させることにした。子供たちは健一郎の薫陶の元、大人になりグループ企業に就職したり、翼のスタッフとなったり、次第に健一郎を中心としたファミリーを形成するようになっていった。施設では、子供たちと触れ合い、子供たちを育てていくうちに自らも学び家族について深く考えるようになる。施設運営も軌道に乗り、日本禄山会は新たな局面を向かえていた。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP