口約束は果たされた(2)
アルタートンとハーヴェイの模擬戦で、兄ロードリックを打ち負かしたセオドール。
その際のロードリックの失言から騎士団内部での不祥事が明るみとなったことで、
セオドールに対するアルタートン家からの干渉を避けるべく、上級貴族との養子縁組をすることに。
なんとその養子の申し出先がエルザント公爵家でーー。
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「大きくなったらお父さまにおねがいして、かならずむかえにいくからね。それまで、がんばって」 幼き日に出会った少女ヴィーのその言葉を、少年は心の支えにしていた。たとえそれが、ただの口約束だったとしても。 アルタートン伯爵家の次男セオドールは、長男ロードリックが手がけるべき書類作業を全て押しつけられている。王都守護騎士団の一員である兄に実力で敵わないセオドールはそれを淡々とこなしていたが、彼らの父母はそのことを認識していなかった。あくまでも弟は、家の後継ぎである兄の手伝いをしているだけなのだと。 そんなセオドールに、ハーヴェイ辺境伯家への婿入りの話が舞い込む。王家から目をかけられている辺境伯家との繋がりを持ちたい父は、セオドールに対して三日で荷物をまとめるよう言い放つ。失意と諦観の中、辺境伯家へと向かったセオドールだったが、彼を待ち受けていたのは、あのときの少女でーー。 2025/01/15 発売