小説むすび | 五番寺の滝

五番寺の滝

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私は、何故あの男を殺さねばならなかったのか?そのことをいくら自問してみても何か核心にたどりつかない疲労が私をとらえる。「殺人の原因は自分の中にある」その言葉が、正当という旗をかざしながら、私を追ってくる…私はなんとかしてそこから逃げなければならない。断じて私の中には原因はない。たんに携帯電話の声が大きすぎたから、あの男は殺されたのだ。ここで描かれる殺人事件は、私たちが置かれている現実世界の悪夢そのものだ。

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