サムウェア・ノットヒア 〜ここではない何処かへ〜
失われないものなんて、
この世界には何ひとつないーー。
美術教師・栄一郎は自身の個展にとある絵を持ち込んでいた。『ここではない何処かへ(サムウェア・ノットヒア)』というその作品は、圧倒的な存在感を放ち、見る者に痛烈に何かを問いかけてくるー。高校時代、栄一郎は幼馴染みの零子と美術同好会に入っていた。零子はいつも憑かれたように没頭して絵を描き、溢れんばかりの才能を持つが、彼女はいつも「失敗作だ」と言って…。心の奥から涙が零れる、かけがえのない喪失の物語。