小説むすび | 恋のおばんざい The story of love in small dishes cafe

恋のおばんざい The story of love in small dishes cafe

恋のおばんざい The story of love in small dishes cafe

出版社

BookWay

発売日

2018年4月18日 発売

本書は『国家の存続・人生方程式』の姉妹作である。

〔本文より〕
「何年か前、私の田舎に橋だらけ、道だらけ、という具合に立派な橋や道を作りまくって。各家の前まで。そして、たまにしか利用しない山道まで舗装をした。更には、米の減反を進める中、農地の改良までして、立派なインフラを整え、あげくの果て、過疎化や耕作放棄地となるのですが、これを日本中に作って大きな借金の一つにもなっています。このようなことは予想できたはずなのに、政治家は票獲得のため、行政担当者は怠慢と言うしかありません。馬鹿を通り越しています。地方の住民は自分たちが税をあまり納めていないのに、便利さを自治体へ要求する。今でも言えることですが、国中そのような考えの人が多い。自ら行動するのでなく、してもらえる、してほしいと思っている。何か改造するとなると、総論賛成でも、自分に関係した不利益なことになると反対になる」
 (中略)
 校門を入ると和子は幸成の腕に抱きつくようにして歩きだした。
「少し離れてよ。あなたは綺麗だし、私にくっついていたら、それに、この派手なペアのリュックのアップリケは目に付きすぎる」
「うちはかまわないえ」
「私は学校を首になるよ」
「丁度良いんじゃない。うちのお養子はんになれば」
「しかし、性急な話だね」
「うちも、お父はんも幸成はんを気に入っているし」
「でも、すぐには決められないよ」
「うちのこと嫌い?」
「好きだよ」
「うち、デパートでお会いした時、一目惚れしたんえ」
「和子さんにはかなわないな。あなたにかかったら私もたじたじだな」
「そうよ。もう覚悟しなさい」
「養子になっても、これじゃお尻に敷かれっぱなしになるね」
「座り心地の良い座布団になっておくれやす」
「ああ、熱が出てきた」
「ふふふふ、ああ可笑しい」
 和子は楽しくてたまらないのである。

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