玉川上水を作ったのは誰?定説は玉川兄弟。これに異論はない。だが兄弟だけが築造者ではない。兄弟の偉業の影に埋もれた名も無き築造者たちの姿を活写する。
家光逝去に伴い十一歳で四代将軍となった幼君家綱。家綱を支える幕閣のひとり松平信綱は幼君の名を世に知らしめようと新たな上水を府内に引く政策をうち出す。だが幕府の財政は逼迫。金蔵の扉は開きそうもない。冴えわたる信綱の知恵と弁舌でその扉を開かせることができるのか。 2023/02/16 発売