小説むすび | 夷王丸傳

夷王丸傳

夷王丸傳

出版社

郁朋社

発売日

2025年8月27日 発売

二度目の蒙古襲来から七年、御家人間の力関係に大きな変化が生じつつあり、また土地相続に窮した御家人たちが、一族挙げて北奥(みちのく)を目指す鎌倉中期を時代背景に、陸奥への野望を抱く甲州南部氏は、北条得宗家の命が下ったことを幸いに、重臣家福士氏の三男夷王三郎(夷王丸)を陸奥に送り、夷王丸はさらに蝦夷ケ島を目指す。同行するは、郎従次郎太、日蓮六大弟子の一人にして大陸渡航について現在も真偽が論じられる日持上人、熊野の修験者日延房と椿を携える歩き巫女珠於の五人と、その後に加わる者たちを含め十名の旅の仲間たち。
この仲間とともに、蝦夷ケ島内の唐子蝦夷、日の本蝦夷の紛争を調停し、元凶たる唐子蝦夷族と大陸ヌルガン(黒竜江)の元国東征元帥府の主と対峙し、結果として講和を取り持ち、大陸をも含む北方世界に平和を齎す。また日持の大陸弘法の悲願も叶い、彼は勇躍して元の大都に向かう。このような歴史的事実と筆者の創作による出来事を横糸にしつつ、蝦夷ケ島の美しき娘「チュブキ」と夷王丸との不可思議な恋の行方が縦糸として語られ、互いに見る幻夢とぺカンペの小さな白い花が二人の恋を成就に導く。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP