提督の決断
大東亜戦争も4年目に突入した年の瀬、横須賀港に沈黙したままの軍艦があった。時代に取り残されたといわれる超弩級戦艦『扶桑』である。そしてそれを見つめる男がひとり。大日本海軍提督・犬田文璽。彼も時代に取り残された存在だった。彼は『扶桑』と同じく活躍の場を失った『山城』、『伊勢』『日向』に「死に場所」を与えようと、極秘作戦を画策していた。それは行き詰まった戦局を打開する日本の最後の手段であったのだ。彼の元に組織からはみ出した無頼が集まった。アメリカ帰りの参謀・犬坂、次席司令官・犬村、天才飛行機乗り・犬飼、水雷屋・犬山、砲術屋・犬川、魚雷艇乗り・犬江、駆逐艦艦長・犬塚、そして次席参謀の金碗…。それぞれの思いが交錯するなか、四戦艦は太平洋へ乗り出す。物量で戦局をリードするアメリカ軍を相手に、はたして彼らは勝利を得ることができるのだろうか。戦艦マニアの著者が自信をもって描く迫力の海戦小説。読者興奮の歴史キャラクターノベルズ第2弾ここに登場。