時代小説の傑作「富士に立つ影」の著者による、「西遊記」のSF的パロディ。ユーモア感覚にあふれた、著者ならではの異色作。何度もリバイバルが計画されながら実現しなかった作品が、いま甦る。白根狂風名義の幻の少年SF「旧造軍艦」を併録。
唐の時代の中国。すべての悪を支配する妖魔の王・蚩尤が目覚めようとしていた。その力を葬り去るには、封印された二つの蚩尤の眼を、東の果ての霊峰・富士の火口に投げ込み滅殺するしかないという。長安の饅頭売りの娘・海燕は、その役目を担うべき運命の少女だった。突然の指名に戸惑う海燕。しかし、心優しき少女は運命を受け入れ、唐に留学中の学生・橘逸勢、僧・空海とともに、遙か日本を目指し旅立つのだった。妖怪の襲撃、心温まる出会い、新たな仲間、悲しい別れ、少女と青年たちは東への旅路を急ぐー。唐の少女と日本の青年の過酷な旅の結末は!? 2018/07/27 発売