小説むすび | ヅォンディム(終点)〜喪失者の島

ヅォンディム(終点)〜喪失者の島

ヅォンディム(終点)〜喪失者の島

カジノで働く仮面の女、ファントム。

そこに現れた組長の愛人、知奈と
その組長の娘、死体から生まれたユウ。

仮面で隠した醜貌の秘密。
激しくぶつかる復讐心と憎悪。

ファントムと知奈の思いの行方はーー

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忌々しい記憶を追い払う。仮面の下が痛む。
ファントムはうっかり爪を噛まないように両手を握りしめ、
今度こそ知奈に気に入られるように笑った。

「本当も何も、これが私ですよ。
私は『ジャンケットのファントム』です。
つまらない名前よりも、ファントムの方がこの島じゃ相応しいでしょう?」
……
恐る恐る宙に浮かせていた手を、知奈の身体に添わせた。
彼女が側にいるだけで、こんなにも安らぐのはなぜだろう。
……
ユウが知奈と自分にとっての疫病神なのは間違いなかった。
この悪縁を断ち、解放されなくてはいけなかったーー

「死に腐れ! お前の思い通りになるかよッ」
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傷ついた者たちの魂が交錯する、
壮絶な“家族”の寓話!

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