小説むすび | 殺意の旅愁

殺意の旅愁

殺意の旅愁

休暇と家族サービスを兼ねて、林は秋盛りの日光中禅寺湖畔のホテルを訪ねた。彼は十年前の同じ季節に今の妻とは別の女とこの湖へやって来た。その旅は山湖の秋色を探るためではなく、許されぬ結婚を嘆いての心中が目的だった。結局は未遂に終わった、その熱烈な情愛の経緯をホロ苦く思い出しながら、ホテルのロビーでコーヒーを啜る林の隣りに座った女は。果たされぬ愛と殺意が名勝で繰り広げる傑作ミステリー。

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