土方久功正伝 日本のゴーギャンと呼ばれた男
彫刻家であり詩人でもある土方久功は、ミクロネシア研究の民族誌家としてもすぐれた仕事を残している。しかし久功の最も貴重な遺産は関東大震災の前年から死の5日前まで55年にわたって書き続けられた日記であろう。残された膨大な日記を一字一句翻刻し、久功の喜び、苦しみ、悲しみを共にする中から立ち上がってくるのは、自己に忠実に生きようとした男の清々しさであり、読む者の知的好奇心を刺激してやまないその生き方である。
まえがき
序章 土方久功との「出会い」
第1章 伯父・土方久元と祖父・柴山矢八
第2章 幼年から青年時代へ
第3章 死の影
第4章 久功の恋(1)--南洋へ発つまで
第5章 憧れの南洋へーーパラオの生活
第6章 孤島に生きて
第7章 再びパラオへーー丸木俊と中島敦
第8章 久功の恋(2)--南洋で
第9章 戦時下の日本へ
第10章 ボルネオから土田村へ
第11章 戦後東京の生活
第12章 パラオ、サタワル島の人々との交流
終章 栄達、名誉を求めぬ一生
あとがき
土方久功略年譜