ボートに託した青春の甘美な思い出とよみがえる戦争の悪夢。激動の時代を毅然と生き抜いた女性を主人公に、今に繋がる歴史の鎖を追う、渾身の大河ロマン。若き医学徒の悲劇。
村田風子は女学生の時、8月9日に被爆した。終戦から5年後の1950年20歳の風子は、大阪の「中国研究会」に就職。その小さな編集室に光あふれる風子の青春があった。人妻と愛人関係にある編集長をはじめ、過去を背負いながら戦争を生きぬいてきた人達の生の輝きと静かな死…。還暦を迎えた風子は、あの日の自分の心を確認するために再度旅にでた。青春の光と影を描く自伝的長編小説。 1997/03/01 発売