家康の江戸開府と国づくり
『戦国時代の終焉と天下人への道程』は信長、秀吉、家康。戦国時代の三人の英傑が、それぞれどのように天下人を目指したかを描く歴史三部作。戦国大名だけでなく、他の作品では滅多に登場しない家臣や地方豪族たちの動き、また当時の朝廷の様子についても丁寧に調べあげ、多数の文献と歴史上の事実をもとに、見えてきた三人の人物像を描き出す。
第三部の主役は徳川家康。関ヶ原合戦後、征夷大将軍に就任し、大坂の陣を経て、ついに豊臣家を滅ぼすに至る老獪な家康の手腕と、徳川の世を盤石にするための、江戸の大掛かりな開発への取り組み、さらにその死後の幕府の様子までを描く。エピローグでは、家康の孫娘を娶った後水尾天皇の行跡をみる。昭和天皇に次ぐ長寿で、譲位以後も長きにわたって朝廷の実力者として君臨した後水尾天皇の生き方を通して、二代将軍秀忠、三代将軍家光の時代の朝廷の在り方や、江戸幕府と朝廷との関わりをみていく。
戦乱の世が幕を閉じ、江戸が政治の中心になっていく、激しい変化の時代を生きた武将たちと、同時代の朝廷の姿を、従来にない視点で丁寧に描きあげた、著者渾身の作である。
作者のことば
第十三章 関ヶ原合戦の家康による後始末
第十四章 家康の征夷大将軍への就任
第十五章 江戸の開発と秀忠への将軍譲渡
第十六章 駿府城に移った家康
第十七章 禁教令と大坂の陣の前夜まで
第十八章 大坂の陣と家康の死
エピローグ
主要参考文献