小説むすび | ノンバンク崩壊

ノンバンク崩壊

ノンバンク崩壊

「面倒な話にならなければいいのだが…。」一本の電話が日本貿易ファイナンス社長・戸田泰三の胸中に、一点の黒い染みを残した。電話の主は大蔵族の大物国会議員、遠山大五。「近いうちに一度、飯でもどうや」。荒っぽい関西弁でそれだけ告げた。この先わが身に何が振りかかろうとしているか、戸田は知る由もない。族議員と大蔵官僚の錯綜する思惑。てんでばらばらにみえたそれぞれのベクトルが、しだいに同一方向へと向かい始めた時、戸田は巨大な陥穽にはまったことを知る。

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