剃刀日記
【2025年2月現在、新本が定価(2,200円+税)で購入可能】
「死人の顔を一度剃ったことがあった。」(「薔薇」より)
嘘か真か、日常に虚構がまぎれ込む、石川桂郎面目躍如の珠玉短編集。
家業の理髪店を営むかたわら、小説や随筆をものした俳人・石川桂郎の第一著作集『剃刀日記』は、一見淡々とした日常を描いているように見えて「ほとんどがつまり虚構の作」という驚嘆の短編集である。虚実のあわいを自在に行き来する作風がゆえに、次作『妻の温泉』は直木賞候補にあがりながらも小説とみなされず賞を逃す。そんな石川桂郎が、版が変わるごとに手を入れ続けた『剃刀日記』の最終形28作品と、初期の版のみに収録され姿を消した9作品および後記を拾遺し、一冊にまとめた。(2024年10月の増刷にあたり、拾遺編に「若草」1篇を増補)
※七北数人氏を監修者に迎えた「シリーズ 日本語の醍醐味」は、“ハードカバーでゆったり、じっくり味わって読みたい日本文学”をコンセプトに、手に汗握るストーリーではなく、密度の濃い文章、描写力で読ませる作品、言葉自体の力を感じさせる作品を集成してゆきます。
剃刀日記
序/横光利一
蝶
炭
薔薇
椿
指輪
百日紅
堤防
秋の花
柚子湯
転業記
転業半歳
商売往来
高雲寺跡
柏餅
元旦の朝
お天気
連翹
七草まで
朝顔
芸者
筍
合唱
女唐服
梅雨明け
あおくび
机・寝台
冬鶯
春くる夜
剃刀日記 拾遺
山呆け
花輪
発表日
蕪子先生の鬚
植木市
十三夜
熱
羽織
雛
後記
解説/七北数人