とらのゆめのを
文学同人雑誌「北方文学」に7年間小説を発表し続けてきた、柳沢さうびの初めての小説集です。「早稲田文学」「文芸思潮」「季刊文科」などに作品掲載の実力派で、「北方文学」にとって欠かせない小説の書き手となっています。「北方文学」などに発表された短篇4編を収録しています。
母子の閉鎖的な愛情関係を、幻想的な場面を含めて描いた「沃野」、長岡市にかつて存在した地下道を舞台にした、喜劇的な「地下道水族館」、蝶の交尾にエロスとタナトスを幻視する「蝶の舌」、プロレスラーの残酷な夢をテーマにした「とらのゆめのを」。いずれの作品でも、柳沢の文体は少し昔の文豪の文章を思わせるほどに、完成度が高く、熟成された芳香を漂わせています。挿画・装画を気鋭の画家、季村江里香が描いています。
沃野
地下道水族館
蝶の舌
とらのゆめのを
あとがきと謝辞