小説むすび | 引揚小説三部作

引揚小説三部作

引揚小説三部作

発売日

2018年4月2日 発売

「お母さん、いまわたしはどこにいるのでしょう? わたしが帰る場所はあるのでしょうか?」

 こんな時代だから知ってほしいーー。
 敗戦後、植民地から引揚げてきた日本人たちの
 日本という国家や日本人に対する複雑な想いを。

日本の植民地だった朝鮮半島で「軍国少年」として育ち、敗戦のため生まれ故郷を追われ、その途上で祖母と父を亡くし、命がけで「38 度線」を超えて内地に引揚げてきた。しかし、敗戦から何年が経っても、心の奥底には「日本」という国家や「日本人」に対する違和感を抱え、自らを日本人でありながら「異邦人(エトランゼ)」のように感じていたーー。そんな引揚者たちの「失われた故郷」での美しき想い出、ソ連侵攻による恐怖、国家に対する幻想と崩壊、そして、不条理に奪われた「アイデンティティ」を取り戻すための葛藤……。作者自身の引揚体験を描いた『夢かたり』『行き帰り』『噓のような日常』の三作品を完全版で所収!

◉作者自身の引揚体験を描いた三作品を完全版で所収
◉巻末解説:山本貴光(文筆家・ゲーム作家)
◉夢かたり
  夢かたり
  鼻
  虹
  南山
  煙
  高崎行
  君と僕
  ナオナラ
  従姉
  二十万分の一
  片恋
  鞍馬天狗
   後記

◉行き帰り
  習志野(『行き帰り』に改題)
  行き帰り
   後記

◉噓のような日常
  大阪土産
  三十三回目の夏
  法事前の数日
  花山里
  夜に帰る
   後記

◉解説「帰る場所のない人類学者」山本貴光

◉底本・初出一覧

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