小説むすび | マウンテンガールズ・フォーエバー

マウンテンガールズ・フォーエバー

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岩壁の向こう側ー翼と引き換えにささやかな安定を得た宇井優香。ふとした会話が濁らせていた山の気配を呼び起こし、4年ぶりの登山を決意する。
クライミングジム・シンデレラー夫とは何もかも合わないが、それ以外は恵まれている。専業主婦の二階敏子は、今のルートが修復できないものだと気づき、かぼちゃ色のアウディを走らせる。
幻の縦走計画ー普通すぎる自分にコンプレックスを抱える見方めぐみ。公私ともにやりがいを見出し、自らの力で道を切り拓こうと歩みはじめたそのとき、自身の体の変化を感じ取る。
ザイル・パートナーー「恋以外には図々しい年頃」と自分を諭す志村千穂。クライミングに情熱を燃やす亨に思いを寄せるなか、後輩から予期せぬプロポーズを受ける。
母がいた八ヶ岳ー物心つく前に母を亡くした後藤六実。二十歳を前に、未来に向けて薄情になる覚悟を決めた六実は、遺されたウェアを身に付け、母の命を奪った山へ向かう。
岩壁の向こう側
1 優雅なモーニングルーティンなんてあるものか
2 みんながいないところへ
3 「生きている」は、この岩壁のどこにあるのだろう
4 山には“それ”があるはずなのに
5 それだけ残しておけば十分だ

クライミングジム・シンデレラ
1 シンデレラタイムはかぼちゃ色のアウディで
2 こんな夜を過ごしている私を知っているのはラジオしかいない
3 地面に蝉の抜け殻が落ちた
4 夫と何もかも合わない以外は大変恵まれている
5 隣のバラもいいが、うちのコスモスだってなかなかだ

幻の縦走計画
1 お煎餅とお餅の子
2 その結果は、あまりにもあっけなく示された
3 ヒールのパンプスとマタニティマーク
4 それを山で感じることはなかった
5 あなたといればどこだって楽園だ

ザイル・パートナー
1 富士山詣で
2 クライミングという沼の先には暗い淵しか見えない
3 論点はそこではない
4 そこには、私たちだけの景色が広がっている
5 冷たく乾いた感触が伝わる

母がいた八ヶ岳
1 ハッピーセットの代償
2 家族を困らせない答えを出したかっただけ
3 父の出した条件
4 別れる寂しさに対抗するには、薄情にならざるを得ない
5 過去のなかにある本当のことは、ほかの人には決して見えない

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