March winds and April showers bring May flowers.
阿部昭没後三十年。「内向の世代」の代表的作家であり、私小説の書き手であり、短編小説の名手でもある阿部昭の傑作短編選集。
阿部昭の短編小説は、誰にでもふりかかる可能性のある人生の一端を描き出している。別の年代、別の地域、別の世界という舞台設定にも関わらず、不思議にどこか既視感のある物語をみせてくれる。そして、誰にでも昔確かにあったろであろう普遍的で懐かしい感覚を思い出させてくれる。
人生の一部分を切り取ったような珠玉の短編小説たちから、わたしたちの「人生の一日」が発見できるはずです。簡潔で平明な文章ながら、鋭い観察眼で人々の生活を表した名短編集です。
天使が見たもの
幼年詩篇(I馬糞ひろい II父の教え IIIあこがれ)
未成年
ふくろぐも
人生の一日
十年
子供の墓
あの夏
三月の風
いのち
あとがき 阿部三郎