長溥の悔恨
日本の「開国」は、あれでよかったのか。
昨夜まで攘夷、天誅を叫び、会津を始めとする忠義の臣民を非道に殺戮しながら、夜が明けるや卑しいまでの西洋崇拝。薩長中心の専制を冷ややかに見ながら、藩主黒田長溥は悔いる。あの乙丑の年の大粛清は一体、何だったのか。月形洗蔵、加藤司書らが在れば、新しき政治の中枢に加わり真っ当な国の礎となったのではないか──。
悲憤の歴史小説。
プロローグ
島津の血
お由羅騒動
蘭 癖
斉彬の死
筑前勤王党
加藤司書
勤王派と佐幕派の対立
犬鳴山別館築造事件
根を切り枝葉を枯らせ
長崎・イカルス号事件
革命前夜
二本松藩、会津藩の悲劇
太政官札贋造事件
エピローグ
参考・引用文献