【POD】雪女/“アゲハ蝶の雪”
「あんたは…今だって、
見えないけど、
泣いてるんだ」
時は1700年代、江戸時代。
猟師の菊太はある吹雪の山での夜、友人と泊まった山小屋で不思議な女に出会い友人を殺されるも自身は一命をとりとめる。
それから6年の月日が流れた、ある冬の雪の日。
菊太は自分の家の前で一人の女が倒れているのを発見する。
女を助けた菊太だったが、じょじょにそこから因果の輪は巡りはじめ、さまざまな出来事を菊太はその女と共にしていくことになる。
家の前で倒れていた女の名はーゆな、といった。
何もしゃべらず、無口で、凛としている女と、その女となにかと暮しのなかで息を合わせようと奮闘する菊太。
不釣り合いで、不均衡な二人はいつしか息が合わさり、結ばれることになり、そこから根を下した二人の村での暮らしが始まっていく。
しかし、その先には様々な暗雲が立ち込めているのであった…。
山々を移動して暮らす人々、暗躍する影、猛り狂う山、踏みにじられる思い。
ー出会いとは?結ばれるとは?そのなかで人が暮らしていくとは?また人が共に生きているとは?
涙の意味、
傷あと、
数奇な運命ー。
すべてが交わりあい、絡まりあい、物語は一つの定めへと進んでいく。
それは、まるでー「人とはなにか?」を描くように。
作者が自身の体験から雪女の伝承を4年かけて取材し描いた再話小説。
この物語を読んだあと、あなたの「雪女」の物語への解釈は
ー変わる。