出版社 : よはく舎
二子玉川へ移転した大学の霧信号所キャンパスは、ずっと霧に包まれている。灯子はスタッフや教員たちと、学生たちの学ぶ場が快適であるよう、日々その運営にあたっていた。 キャンパスには猫が闊歩しているが、黒猫を、一度に二匹以上見たことが無い。 そして、そこに「あるはずのないもの」が発見される。 猫は何匹いるのか。キャンパスは正常に運営できているのか? 予定外の出来事やプライベートでの変化があっても、続く日常。 デバイス、アプリ。21世紀のテクノロジーが当たり前のベースとなった私たちの社会で、新しくなったことと変わらない人の営みの細部を描き切った小説。 デビュー小説『フルトラッキング・プリンセサイザ』から重なる登場人物たちは、池谷作品が文学の王道でもあるサーガとして構築されていること、池谷氏が大きな構想をもった作家であることを証している。 喪失の痛み、もうひとつの声を軸にシンフォニックな世界を描いた池谷和浩の新境地であり、この新しさは世界に通じる文芸作品である。 装画 加藤オズワルド 装丁 図工ファイブ
ささやかな願い、祈りを描いた7編の短編・掌編小説を収録した短編小説集。 アルコール依存症の父親とその息子を描いた表題作「かみさまののみもの」。 3つの掌編小説。 神話・歴史上の女性をめぐる連作「ヒュパティア」「ハトシェプスト」「クリュムタイムネストラ」。 2023年10月に私家版として文学フリマで刊行した書籍を2024年6月から商業出版として刊行。商業出版版から、帯に書き下ろし短編『はんしんのおみず』を収録。 かみさまののみもの 02 掌編 毛玉から南極へ 10 レースのカーテン 12 ナメクジ 15 ヒュパティア 24 ハトシェプスト 33 クリュムタイムネストラ 45 あとがき 66
「私は元々一人ぽっちだったのだ。」「私は私の姿を孤独、ひどく冷めたい切なさに見た。」「彼の魂は孤独だから、彼の魂は冷酷なのだ。」サチ子はただあるがままに在る、そして人と交わるが馴れあうことはない。魂の孤独を描き切った、坂口安吾の傑作短編を本作のみで「戦争と人間、孤独」集 その壱として書籍化。 初版には小林えみによる別紙「「白痴」より傑作な作品」を付録。 企画「戦争と人間、孤独」集 全3冊 こんにちは世界。 私たちはひとりで生まれてひとりで死ぬ。 ひとりは寂しい。 それでも私は孤独を肯定する。 一、坂口安吾『青鬼の褌を洗う女』 二、三木 清『人生論ノート』 三、小林えみ『孤独について』