母の遺志を継いで、単身「ベンポスタ子ども共和国」に行く幼い弟。それを見守りながら、何もしてやれないと悩む兄。美しい兄弟愛の成長を切々と歌いあげる珠玉の名編。
2組の夫婦に秘められた背徳の過去。東京とスイスを結ぶ往復書簡が織りなすレターロマネスク。
狂気と正気の交叉する幻想的な表題作「蟹の町」をはじめ、デビュー作「雪洞にて」など四篇を収録。内海文学の原点ともいえる作品集。