小説むすび | 出版社 : 万代宝書房

出版社 : 万代宝書房

氷室絵馬ーその総てー氷室絵馬ーその総てー

発売日

2021年10月28日 発売

(あらすじ) 目下、とある出版社に持ち込まれた小説がミリオン達成かと話題をさらっている。美人で富豪の娘という設定が受けたからとか、医者が書いた小説だからというわけではない。彗星のごとく登場し、不可解な投身自殺を遂げたスター氷室絵馬の死の謎を解明した物語と言われているからだ。 小説世界で室生絵馬という名で登場するヒロインは、愛媛県今治市に本拠地を構える日本屈指の造船会社社長を父に持つ華やかな美貌の一人娘。絵馬は父儀一が一代で築いた造船会社を受け継ぎ、いずれは複合企業体としてその頂点に立ちたいと願っている。母が早死にしたこともあって、小学校から乳母長谷部と共に上京し、名門・高輪女学院初等部に通う。すくすく育つ過程で絵馬は中一の時に夾竹桃の樹液に人を殺すだけの毒があると知る。たまたま、絞っているところを長谷部に見咎められた絵馬は彼女に樹液を飲まして死に至らしめる。 大学生になった絵馬はスカウトされて芸能界に入り、一気呵成にスターの座を得る。順風満帆のはずが、親友夢子の恋人に手を出したことが原因で、父から「しばらく愛媛に足を向けるな」と足止めを喰らう。それを義母のせいと思い込んだ絵馬は氷塊を使って義母を殺害しようとするも、齟齬が生じて絵馬が負傷し入院することとなる。 絵馬を見舞った医師国分は内情を読み取った上で、耳元である言葉を囁き、その場を離れる。その日の夜、絵馬は『母に』というメモ書きを残して病院屋上から投身自殺してしまう。 小説世界と現実世界で同名なのは氷室絵馬という名前だけである。

元検事の目から見た芥川龍之介『藪の中』の真相元検事の目から見た芥川龍之介『藪の中』の真相

発売日

2021年10月21日 発売

芥川龍之介は、大正11年1月、雑誌「新潮」に短編小説『藪の中』を発表しました。 一般に、事件の真相がはっきりしないことを、この小説の題名や小説の中の犯行現場が藪の中であることからか、「真相は藪の中」などと言われています。 この小説の中の真相は何であったのか、犯人はいったい誰であるのか、そして、作者芥川龍之介はこの小説を通じて読者に何を伝えたかったのか。これについては、過去、主に文学関係者を中心に数多くの論評があります。 この小説の特異な点は、多襄丸、真砂、武弘のいずれもが、他人に罪をなすりつけているのではなく、自分が犯人である、と述べているところです。ここに注目しなければなりません。 著者は、かつて検事として刑事事件の捜査と裁判に携わってきました。しかし、芥川のこの作品の構成は緻密であり、言葉の表現も含めてしっかり計算されて書かれたものであることが分かります。 そこで、『藪の中』の真相が何であったのか、誰が犯人か、なぜ自分がやったとあえて嘘をついたのか、芥川はこの作品で何を伝えようとしていたのか、について、著者なりの解釈を順に説明していいます。 はじめに   第一章 関係者の話の概要   第二章 当事者の話の信用性判断基準 第三章 真相についての考察   第四章 作者の真意について

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