出版社 : 徳間書店
警視庁組対四課の米沢英利に「女を捜して欲しい」とヤクザが頼み込んできた。米沢は受け取った札束をポケットに入れ、夜の街へと足を運ぶ。“悪い”捜査官のもとに飛び込んでくる数々の“黒い”依頼。解決のためには、組長を脅し、ソープ・キャバクラに足繁く通い、チンピラを失神させ、時に仲間である警察官への暴力も厭わない。悪と正義の狭間でたったひとりの捜査がはじまる!
尼崎藩江戸家老・塩谷隼人は、国許の農政改善への協力を求め、農学者の大蔵永常を訪ねる。永常は快諾の代わりに身辺警固を頼んできた。承知した隼人は相次いで不審な刺客と対決する。永常は幕府と薩摩の双方から狙われていたのだ。日の本の農業を向上させて民が飢え死にしない世を目指す彼が、怪しき人物であろうはずがない。隼人は薩摩藩前藩主・島津重豪の手の者と対峙することとなる。
失踪した娘を捜してほしい。母親から依頼を受けた、かつて十津川警部の部下だった私立探偵の橋本は、池戸彩乃の捜索を始める。勤務先のパソコンに残されていた「411658 1411123」という謎のメモを、本州最北の鉄道駅である下北駅の緯度と経度と判断した橋本は下北に飛び、彩乃の痕跡を求めて恐山、仏ヶ浦を訪れる。一方、東京では彩乃の同僚が殺され、十津川警部が捜査に乗り出した。事件は予測できない展開を見せ始めた…!?オリジナル著作600冊目にあたる記念作品!
平凡なサラリーマンだった「俺」は交通事故に遭い、異世界に人と龍族のハーフの赤ん坊・クロウとして転生する。しかも魔法やら武器錬成やら、とんでもなくチートな能力付きで!だがこの世界、種族間の対立がやたら激しく…。争いを憂う女神セラは世界の調停者にすべく「俺」を転生させたらしい。かくて5歳になった「俺」は世の中を知るため旅に出るが?ひたすらチートな主人公が世界を変える、新感覚冒険ファンタジー!
絵馬の中の人物がまるで矢を放ったように見える殺しの現場の真相はー(びいどろの筆)。味競番付で上位になった店ばかり次々と強盗に襲われているが…(泥棒番付)。砂を金に変える秘術をおらんだ人から教わったという者が持ち込んできた話とは(砂子四千両)。空中楼夢裡庵こと八丁堀定町廻り同心の富士宇衛門が、江戸の風物詩をめぐる不可思議で魅惑的な事件と対峙する。
「相性を見てほしい」真剣な顔をした娘が本当に占ってもらいたかったものとは(手相拝見)。金魚が一匹残らず死んだ。さらには人間まで…もしやあの饅頭に毒が?(金魚狂言)。花火が終わって静まり始めた川に浮かぶ船には一体の屍体が(仙台花押)。八丁堀同心・夢裡庵が大砲隊の前に仁王立ちする最終話(「夢裡庵の逃走)」を含む、江戸が舞台の連作ミステリ十一篇。
大手食品メーカーに勤める由加利は、研究医で優しい恋人・桔平と同棲5年目を迎えていた。ある日、桔平が倒れて意識不明になると、彼の職業はおろか名前すら、すべてが偽りのものだったことが判明する。「あなたはいったい誰?」由加利は唯一の手がかりとなる桔平の書きかけの小説を携え、彼の正体を探る旅に出る。彼はなぜ素性を隠し、彼女を騙していたのか。すべてを失った果てに知る真実の愛とはー。もうひとつのラストに涙する、小説版「嘘愛」。
橋岡恒彦は「名簿屋」の高城に雇われていた。名簿屋とは電話詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。橋岡は被害者から金を受け取る「受け子」の差配もする。金の大半は高城に入るので、銀行口座には大金がうなっている。賭場で借金をつくった橋岡と矢代は高城に金の融通を迫るが…。一方で大阪府警特殊詐欺班も捜査に動き出す。逃げる犯人と追う刑事たち。最新犯罪の手口を描き尽くす問題作!
江戸の八丁堀に開店した料理屋「なには屋」は、大坂の廻船問題「浪花屋」の出見世。次男の次平と娘のおさや、料理人の新吉が切り盛りしている。しかし、江戸っ子に上方の味付けは受け入れられず、客足は鈍かった。そこで、常連になった南町奉行所の同心たちや知り合いの商人の助けで、新しい献立を創ったり、呼び込みをして、徐々に客を増やしていく。だが、上方嫌いの近所の奴らが…。書下し時代小説。
北関東の奥座敷、花吹雪温泉の満蜜亭は、ひところは閑古鳥が鳴くありさまだったが、今では客足もV字回復を遂げた。それはひとえに、妖艶な四十路女将をはじめとする肉弾スタッフたちの営業努力のたまものなのだ。エッチを通り越したばかばかしくも超スケベなサービスが大好評を博した。人呼んで「絶倫ホテル」。『処女刑事』の著者が贈る抱腹絶倒のエロ事繁盛記!爆笑娯楽温泉官能長篇。
ブンヤが突然告白された!しかも学園祭終了直後の学食というベタな展開。相手は一年生で陸上部員のミア。ガチガチに固まって、噛みまくりだ。一方、ウエイトリフティング全国二連覇のミニマム美女委員長が生徒会長選挙に立候補。続いて、野球部マネージャーのヒラオカも出馬を表明。ヒラオカは「当選したら、野球部に戻れ」とブンヤを説得しているけれど、選挙と野球ってなんの関係が?
仰の国では、王の徳が失われ、世情が乱れ始めていた。「王を殺す刀」を作ったという罪を着せられて両親を殺された柳紫鳳は、女であることを隠し、「絶命殺」と恐れられる暗殺者となり、旅を続けていた。ある日立ち寄った酒場で、月家刀を手に入れたという男たちから、塞北盗侠こと胡桃核が奪おうとするところに遭遇する。この月家刀こそ、紫鳳の父の作った刀だった。だが…。
ある日はるひは、風早の西公園で不思議な女の子と出会う。ちょっとだけ偉そうなその子は、古い桜の木をよりしろにする、土地の神様アカネヒメだった。魔法の力を使えても、まだ幼い神ゆえに、誰の目にも見えず声も聞こえない、ひとりぼっちだった神様とはるひは友達になったー。あの懐かしい、ささやかな奇跡の物語がついに文庫化。書下し「人魚姫の夏」を収録。
十一歳のおけいは泣きながら走っていた。日本橋通旅籠町の太物問屋・巴屋の長女だが、母は美しい次女のみを溺愛。おけいには理不尽に辛くあたって、打擲したのだ。そのとき隣家の小間物問屋の放蕩息子・仙太郎が通りかかり、おけいを慰め、螺鈿細工の櫛をくれた。その日から仙太郎のため巴屋を江戸一番の店にすると決意。度胸と才覚のみを武器に大店に育てた女の一代記。
人魚の男と私。おんぼろ寺での奇妙な共同生活は、私を壊す…。ある日私は誰もいないおんぼろ寺に帰ってきた。掃除に取り掛かった私が池で見つけたのは、真っ白な自称人魚の男『うお太郎』。人魚にも見えないが、人間とも思えない不思議な生物だった。うお太郎は「この寺の周辺には奇妙な石が埋っており、それを私には見つける力がある」と言うが…。
十津川班の西本刑事が、少し古風な感じのするOL早川ゆう子に恋をした。箱根への日帰り旅行に出かけることになり、新宿発の小田急ロマンスカーに乗車した。ゆう子の高校時代の友人で車内サービス係として忙しく働く前田千加と偶然再会するが、千加が突如車内から消えたのだ!?途中下車する駅もない。その夜、千加は調布市内の自宅マンションから他殺体で発見される。死亡推定時刻は、ゆう子が会った数時間後だというのだが、どうやって帰宅したのかも不明だった…。「行楽特急殺人事件」他、傑作旅情ミステリー集。
首相主催のジャーナリスト懇親会へ編集長の代わりに出席した月代。彼を見たときの首相の驚いた顔は、まるで幽霊を見たかのようだった。数日後、急に編集長が亡くなり、月代は車に轢かれそうになり、家に石が投げ込まれ、家族にまで災難が迫ってきた。俺が何をしたというのだ?ふと、五年前ある温泉町のバーで男と話した記憶が蘇った。自分が狙われる理由があの夜の出来事にあったのだ。