出版社 : 祥伝社
信じ難い敗戦により、手痛い戦力損失を被った討魔衆ー生き残った男を組み入れた「天蓋の小組」だったが、両国川開きで原因不明の将棋倒しに巻き込まれ、早雪が神隠しに遭う。警戒に当たっていた臨時廻り同心小磯も調べを進めるが、今度は神田堀で酔っ払いの溺死事件が…。七年に一度しか目醒めないはずの穢王がわずか一年で目醒めるに及び、凄絶な闘いが始まる!
花魁・花菊は死を希った。吉原の大見世で最高位の花魁となるも、やはりここは苦界でしかない。父母と彼岸での再会を望み、燃え盛る妓楼に身を置いた。だが紅蓮の炎に飛び込んできた男がいた。花菊は業火の中、ぼろ鳶組纏番・彦弥と運命の出会いをするー。連続する火付け、下手人と思しき者の殺害、黒幕が?新庄藩火消頭・松永源吾が情念渦巻く吉原で謎に挑む。
唐木市兵衛と暮らした幼き兄妹小弥太と織江の親戚にあたる金木脩が酔漢に襲われ重傷を負った。柳井宗秀の治療で一命をとりとめたものの、酔漢は実は金木の故郷北最上藩の刺客であることが発覚する。急遽、北最上に奔る市兵衛。そこでは改革派を名乗る一派による粛清の嵐が吹き荒れていたー領民を顧みず私欲を貪る邪剣集団が、市兵衛暗殺に牙を剥く!
深川の寺社が相次ぎ押し込みに襲われた。どれも有り金を奪われ、皆殺しにされた凄惨なものだった。一月前にも置屋の主人夫婦が殺され、金品が強奪される事件が起きていた。その置屋から船頭と駆け落ちしたお登喜が、三年振りに深川に戻ってきたのを目撃されてー。深川鞘番所支配の大滝錬蔵は、十年前にも同様の押し込みがあったことを突き止めたのだが…。
結婚を考えていた元恋人へ、田舎から一緒に上京した親友へ、亡くなった母へ…。大切な人に伝えられなかった本当の気持ち。「女による女のためのR-18文学賞」デビューの期待の新鋭が贈る、瑞々しい才能がきらめく大注目の最新作!
この夏の課題は、民俗学の巨人・南方熊楠の『十二支考』!? 干支にちなむ神々に守られた街なのに、なぜ「丑」の方角にだけ神社がないのか? おんぼろ研究室を飛び出した〈教授〉の純粋推理! 「ネズミの靴も忘れないで持って来てよ」 教授然とした風貌を持つ非常勤講師・矢上〈教授〉は、理系学部で日本古典文学を教える変わり種にして、筋金入りのミステリ愛好家。その教え子の女子大生・御牧咲は、〈教授〉から出された夏休みのレポートの課題にこぶし野町を選んだ。この町は、十二支にちなむ神々に各方角を守られているのに、なぜか「丑」の方角だけ神社がない。そしてなぜか、南方熊楠の民俗学随筆集『十二支考』にも「丑」の章だけがないのだ。何か理由があるのか? 勇躍フィールドワークに出た咲は、降り立ったこぶし野駅で、さっそく“ネズミ”に纏わる不思議な会話を耳にするが…… 第一話 ネズミの靴 第二話 「虎」の武勇伝 第三話 卯塚の君 第四話 サル、トリ、イヌの三社祭 第五話 未の門 第六話 亥の子餅遁走曲 第七話 辰巳の水門 第八話 空隙としての丑の方 エピローグ 午の方にある駅で
「私は悪い人間です」そう書き遺し、第七明和銀行高田通り支店の若手行員樋口が死んだ。警察は自殺として処理するが、庶民行員の多加賀主水は、新田秘書室長より「死の真相を追え」と指令を受ける。吉川頭取たっての調査依頼だった。生前の樋口の交友関係を辿ると、悪徳政治家や貧困女子、不倫相手らが浮かび上がるが…。樋口の無念を晴らすべく、主水が悪に天誅を下す!
“雌ライオン”こと名探偵・生野エルザと猛獣使いの助手・川島美伽のもとには日夜、風変わりな依頼が舞い込む。ある日、地元の女子大生から“恋人の聖地”で元彼と永遠の愛を誓って鍵をかけた南京錠を外してほしいと頼まれる。二人は任務を遂行するが、後日彼女は密室状態の部室で首を吊って死んでいて…!?(「首吊り死体と南京錠の謎」)湘南の片隅で本格推理が光る、ガールズ探偵ミステリー!
雷鳥、はくたかなど多くの特急が行き交った“特急街道”北陸。越前一乗谷遺跡を買い取りたいと、戦国大名朝倉氏の末裔を名乗る麻樹という女が現われる。一方、東京で、人気ゲーム作家武井要の刺殺体が発見された。富山県高岡市にも姿を見せた麻樹が「タケイ」という相手に電話していたとの情報で、警視庁の十津川警部は富山に飛ぶ。だが、その矢先、新たな殺人が!
芸能事務所のやり手女社長が誘拐された。因縁の半グレ組織の動向を探っていた六本木署警備課BG三係の澤向健吾は、狙われた事務所の看板女優・真梨邑明恵の警護を命じられる。BG三係とは、悪辣な事案に限り非合法な先制攻撃を許された、新設の秘密護衛チームである。明恵への刺客を撃退した澤向。背後に闇組織の暗躍を知るや、さっそく罠を仕掛けるが…。
父親の伝手で、本邦初の大型旅客飛行船・月光号の記念飛行に招待された宮沢賢治。飛行船好きの賢治は、医者を目指す美しい乗客・最勝寺薫子と出会い、空の旅に心躍らせる。そんななか、乗客の一色子爵が、血まみれとなって自室で発見された。しかし、それは月光号で始まる惨劇の序章に過ぎなかったー空中の密室で繰り広げられる連続殺人に、名探偵・宮沢賢治が挑む!
京、尾張、駿河と殺しを続ける凶悪犯、「絵師」が江戸に入った。殺す相手の似顔絵を描くという特異な犯行で知られていた。臨時廻り同心鷲津軍兵衛は、絵師を追う駿府町奉行所の同心西ヶ谷に助力することに。そんな折、軍兵衛はひとりの浪人と出会う。気に入りの酒場で、伊良弥八郎と名乗る男と気持ちの良い酒を酌み交わすも、その表情仕草に尋常ならざる陰を見るー。
千両という高額な賞金が人気の、谷中大京寺の富くじに絡む殺しが続く。富札を財布ごと掬り取った男は堀に浮かび、札を預かった小間物商は刺殺される。抽選前なのに、なぜ?札には何かいわくがあるのか?同じ頃、風烈廻り与力青柳剣一郎は、陰富と呼ばれる御法度の富くじの取締りを命じられる。老中からのお達しというが…。庶民の夢、富くじの背後に蠢く闇を斬る!
七年の歳月が過ぎ、齢五十四となった園瀬藩の道場主岩倉源太夫。だれにも避けることのできぬ“老い”を自覚しつつも、かつて退けた剣士の挑戦を再び受けて立つ。挑戦者の註文は「真剣で」だったー(『歳月』)。道場を開いて弟子を持ち、後添いにみつを娶って、思いがけず子を得た源太夫。息子の成長と旅立ち、弟子の苦節と克服を見守る、逃徹した眼差しの時代小説。
信玄の埋蔵金伝説が残る山梨で、殺人と誘拐が同時発生。それぞれの事件を追う二人の名探偵が邂逅した時、武田家を支えた、戦国時代から続く名家の謎が浮上する!
なぜ「真珠湾」だったのか?欧州戦線への参戦を目論み、日本に仕掛けられるルーズベルトの謀略。開戦やむなしに至った時、命運を託された連合艦隊司令長官・山本五十六が見せた、もうひとつの貌とは?
2031年、ネットで「実験アシスタント募集」の広告を見つけた“僕”は、「先端脳科学研究所・脳内ビジョン研究室」を訪れ、目を瞠る。脳内に浮かぶイメージを可視化する「マインド・ピュア」という技術を開発していたのだ。しかもその裏では、さらに高度な研究が進行していた。アシスタントになった僕は、同じ被験者で、解離性同一性障害を抱える桜蘭に一目惚れ。彼女の別人格・空歩の妨害にもめげず、恋に、研究に取り組むが…。
「この門をくぐる者、全ての希望を捨てよ」そう落書きされた三つの“ゲート”だけで“区外”と繋がる“魔界都市“新宿””。“魔震”に見舞われ“亀裂”に画された副都心は、妖物が跋扈する街へと変貌した。その片隅でせんべい店を営む秋せつらは、絶美の美貌を誇る人捜し屋でもあった。ゾンビに恋人を殺された女、地図に記されぬ場所に逃げ込んだ男と女、幽霊船から帰還した夫妻など、奇怪な依頼は尽きない。やがてせつらが不可視の妖糸をふるう時、斬り裂かれた闇の向こうに待つものは?不朽の大人気シリーズ最新作!
資産家の娘・早百合に意中の相手がいるのか。調査を依頼された探偵の木暮と菜々は、最後の候補者と早百合がスクランブル交差点ですれ違うよう仕向ける。だが、その寸前に、なぜか木暮は早百合に電話を入れた…(「意中の交差点」)。借金苦から、休暇を利用して質屋に押し入った刑事の角垣。逃走中に電柱に衝突するも目撃者はなく、無事逃げおおせた。だが、なぜか上司の南谷は、角垣が犯人だと見抜くのだった…(「ある冬のジョーク」)。とっておきのアイデアを注ぎ込み、ストイックに紡がれた贅沢な作品集。