出版社 : 角川春樹事務所
この街の権力者、久納義正の元に一本の連絡が入った。その相手は亡くなった戦友の息子、野本精一だった。野本は金の無心をした上に、ブラディ・ドールのオーナー・川中良一に命を狙われているという。今は亡き戦友の息子を守るべく久納は、「ソルティ」と呼ばれる若月真一郎に野本を守るよう命じる。絶望、愛憎、欲望ー。様々な想いが交錯する中、ハードボイルド小説の最高峰がついに終焉の時を迎える。シリーズ第十八弾!!
夏休み。鉄道好きで“スーパーおおぞら”に憧れる僕は、ある日出会った男性に小樽の鉄道博物館へ連れて行ってもらえることに。最高の夏になると信じていたのに、こんな大ごとになるなんてー。生活安全課の小島百合は、老舗店で万引きした男子小学生を補導した。署に連れて行くも少年に逃げられてしまう。一方、刑事課の佐伯宏一は園芸店窃盗犯を追っていた。盗まれたのは爆薬の材料にもなる化学肥料の袋。二つの事件は交錯し、思わぬ方向へ動き出す。北海道警察シリーズ第八弾。
「あの“火を生む鏡”、とんでもない代物じゃないですか!」京都北山のブックカフェで働く香坂真澄は、片思い相手の新聞記者・榎本克也が、事故死した日に誰かとの電話していた通話を忘れられずにいた。そんな折、ド派手な僧侶・志田芳信がカフェへとやって来るー。榎本の死には、古代豪族・賀茂氏が残した謎の古代鏡が絡んでいる?天皇の先導役だったという賀茂氏の姿と古代鏡を追い求める内に二人は秘されていた血の縁を暴いてしまい…。破戒僧にして名探偵・志田の活躍を描く、古代ミステリー第二弾!
町絵師の子として育った諒は、京狩野家の絵師・五代目狩野永博の許へ弟子入りをする。諒の才能に惚れこんだ永博は自分の娘・音衣と結婚させ婿養子として迎えた。京狩野家の六代目絵師として邁進していたが、妻との関係が冷めていくうちに、諒を兄と慕う幼馴染みの夜湖といつしか男女の関係になっていたー。一方で、「豊臣家の宝」とも呼ばれ、岩絵具にすると深い群青色を出すといわれた幻の輝石「らぴす瑠璃」が京狩野家に密かに伝えられているという噂を耳にする。「絵師とは何ぞや」。その答えを求め続ける男たちと、様々な思惑の中で苦悩する女たちを描いた、書き下ろし時代小説。
「日替わり、牛スジ麻婆」「韓国風海苔巻き、初登場!」「定番の鰯のカレー揚げ」「締めは、茶がゆか親子丼」…姑の一子と嫁の二三、通いの万里の三人で営む「はじめ食堂」は常連客でいつも賑やか。そんなある日のランチタイム、お客の様子が、どうもおかしい。馴染みのOLの一人が、そっと耳うちしてくれた。「ネットにはじめ食堂の悪口がー」あることないこと、ネットに大量投稿されているという…。家庭的な美味しい料理とたっぷりの人情で、大人気の「食堂のおばちゃん」シリーズ、第六弾、ますます絶好調!
名将・真田幸村の忘れ形見、吉利支丹武将、豊臣の血筋が共に立ち上がった。大坂の陣で幸村と共に戦い、落ち延びた明石掃部。熱烈な吉利支丹である掃部は、禁教令を敷き年々迫害を強めている徳川に対し、再び旗を揚げる機をうかがっていた。落ち延びた命ー戦国の荒野に忘れてきた夢を取り返すべく、男たちは再び戦いはじめる。歴史上の様々な伝説を贅沢に織り込んだ、一気読み必至の戦国エンターテインメント!
TOP(東京オリンピックプロジェクト)男子マラソンの強化選手となった走水剛。だが、勤務先・青葉製薬の新商品開発のため、急きょケニアへ赴任することに。日本での合同練習には参加できないものの、赤道の国で秘策“ロングスパート”に磨きをかける。そして二〇二〇年、夏ー。二十八歳になった剛は、ついに東京五輪のレースに挑む。傑作青春小説、感動のゴールへ!
“おすいもの 御にざかな さしみ なべやき”と標した看板をたてかけた、八丁堀の天神小路にある「天神屋」は、元武士でわけありの小五郎が営む、小さな煮売屋である。ある晩、店仕舞いをしていた天神屋を、近所の茶屋で酔って暴れてきた旗本の赤坂源四郎ととり巻きたちが訪れた。その一人が老舗足袋問屋の倅、久太郎で、先の茶屋の支払いを実家に頼めと、仲間になぶられるのを、店を手伝いに来ていた小五郎の相棒、風来坊の徳市が見かねたことから、乱闘騒ぎとなる。久太郎は徳市の幼馴染だった。人気作家による書き下ろしシリーズ、待望の続編!
南町奉行所隠密廻り同心・長月隼人が、嫡男で見習同心の菊太郎と剣術の稽古中、隼人が手札を渡している岡っ引き・利助がやってきた。日本橋本石町の呉服店「松永屋」に押し込みがあり、手代が惨殺され、大金が奪われたという。大きな事件と踏んだ隼人は、菊太郎とともにさっそく現場へと向かった。手掛かりは、殺された手代の体に残された背後からの一太刀であろう刀傷と、般若の面を被っていたということのみ。隼人と成長著しい菊太郎が、ともに賊の正体を追う!父子の剣が悪を斬る傑作時代長篇。
千代田区麹町で国会議員の秘書が、心臓を銃で撃ち抜かれ死亡するという殺人事件が発生した。現場に駆けつけた警視庁捜査一課の鹿取信介。被害者は公安部が監視対象とする産業スパイとも接触があった。同時期に大阪府吹田市で大手製薬会社の研究所職員が消息不明となっていた。研究所職員と産業スパイ、被害者の三名に接点があることを知った鹿取は捜査のため、大阪へと向かったー。大人気シリーズ第三弾!!
築七十年の古民家“月光荘”で住みこみの管理人となって数ヶ月。家の声が聞こえる大学院生・遠野守人は、月光荘の声に包まれて、穏やかな日々を過ごしている。知り合いや馴染みの店もでき、川越の町にも慣れてきた。そんなある日、お気に入りの古書店「浮草」の店主が入院中だと知る。バイトの女子大生・安西は店主から、自分が逝ったあともここで働いてほしいと言われているといい…。川越の町で、人と人とが結びついていく。何かと何かが繋がっていく。やさしさと温かさが心に沁みる、シリーズ第二作。
伊達三傑の一人として数えられる猛将・伊達成実。知略で政宗を支えた片倉小十郎に対し、主君より一つ歳下として生を受けた成実は、武勇で天下への野心を支え続けた。伊達南領の要衝・大森城の城主、伊達家第一席の重臣として、何度も政宗の危機を救ってきた右腕である。その勇猛さは、会津攻めの中核として、数多くの軍功も上げる。だがその生涯の謎とされるのが、豊臣秀次が謀殺された後の、突然の伊達家からの出奔である。右手の大火傷という将としては致命的な傷を得ながら、龍の右目にならんと生涯を戦い続けてきた猛将は、なぜ伊達を去り、また戻ってきたのか。俊英が描く、鮮やかな男の生涯。
早春の夕刻、日本橋は木原店の一膳飯屋「塩梅屋」には、常連の喜平、辰吉、勝二が揃った。主の季蔵が、大食通極望子の料理山海珍味帖による白梅酒を召し上がりませんか?という文を出していたのだ。季蔵が用意したお酒を堪能しながら、見事な梅園を幾つも持つ両替屋・晴野屋の話などに、花が咲いた三人だった。その数日後、梅干し料理の献立を考えていた季蔵の元に岡っ引きの松次がやってきた。晴野屋に、大山天狗の名で、跡取り息子を拐かす、という文が届いたというー。美味しい季節の料理と、大切に思うひとへの愛、冴えわたる季蔵の推理。大ベストセラーシリーズ、充実の最新刊。
板橋宿の機織り「雁治屋」。羽振りはいいが、そこで働く娘たちは重労働に苦しんでいた。小夜も辛さに耐えきれず逃亡を図る。追われた小夜は土蔵に隠れるも見つかり、もみ合いの拍子に主人をかんざしで刺殺、隠していた書付けを持って逃げだした。武士の歴史を変えかねない謎を秘めた、その書付けの中身を知る北町奉行所の与力・巨勢は、布引左内を呼び出して、その回収を命じる。一方、やぶれかぶれの小夜は、札差屋の次男を名乗る扇太郎と知り合い、抜き差しならぬ仲となっていくのだが……。好評シリーズ第二弾!
亡き八代将軍吉宗より田沼意次の行う幕府の財政改革を手助けするよう命を受けた隠密のひとりで、ふだんは芸者姿に身をやつす村垣伊勢。村垣は、両替商分銅屋の用心棒である諌山左馬介を、その鉄扇術から、ただの浪人ではないと疑いだした。一方、改革を推し進める意次の動きを探ろうとする者たちに対し分銅屋が仕掛けた策には、次々と獲物がかかり始める。武家の駆け引き、野心を抱く商人の台頭ー江戸の世はどう動くのか。大好評シリーズ、第七作。
二つの腎臓を失くした「キドニー」と呼ばれる弁護士の宇野。若月真一郎はこの男を護衛するよう、街の権力者・久納義正から依頼を受けた。同じ頃、高岸と名乗る男がこの街にやって来た。高岸はN市にある酒場「ブラディ・ドール」の経営者、川中良一の部下で、ある強い決意を持ってキドニーを追い続ける。高岸の目的はいったい!?過去を背負い、今を生きる男たちの誇りをかけた戦いの幕が上がる時、強烈な個性がぶつかり合う。大人気シリーズ第十七弾!!
義父と古い付き合いのある古手屋の親分・勝五郎が殺された。入り婿で十手持ちの岡っ引き六兵衛は、勝五郎の娘と昵懇である妻のためにもと下手人捜しにやる気をみせるが、手がかりがつかめず途方に暮れる日々。そんな中、心中未遂騒ぎを起こした男女と知り合い、偶然にもご法度の巨砲の絵図面を手に入れた六兵衛と義父は、何者かから命を狙われ…。情けをもって悪を成敗する岡っ引きが、「どろぼう長屋」に住む怪しい仲間とともに活躍する、傑作捕物帳第三巻。
主・久兵衛の主菓子が幕府歌学方に気に入られ、照月堂は躍進の兆し。来たる夏に向けての主菓子も所望され、久兵衛はなつめにも案を出すよう言いつける。自分に新たな菓子など考え出せるのかと緊張しつつも、なつめはさっそく思いを巡らし始める。そんな折、照月堂では、出入りの薬売りの子を数日預かることとなった。ところがその富吉、妙になつめに懐いてくる。不思議に思っていたなつめだったが、ある時富吉が口にした「けいさま」という名を聞いて、驚き、動揺して……。続々重版の大人気時代小説シリーズ、第五巻!
涙の途中棄権から一年。大学三年となった走水剛は、翌年の箱根駅伝で因縁の5区走者に指名された。運命のレースを経て、人生が大きく変化していくー。大学卒業後に入団したのは、大阪・青葉製薬陸上競技部。曲者の監督から聞かされた、東京五輪制覇の秘策とは?箱根駅伝の雪辱とランナーとしての成長を描く、シリーズ佳境の中巻!