1990年3月15日発売
パリに憧れる23歳のツアー・コンダクター湯川真美子の今度の仕事は香港パックツアー。いまいちノリのこない真美子が香港最初の夜に遭遇したのは、なんと殺人事件。伝説の秘宝・「キング&クイーン」をめぐる香港マフィアの抗争に巻きこまれてしまったのだ。スリルとユーモアと過激なアクション、そしておしゃれな恋もハイピッチで展開する。傑作ロマンチック・サスペンス。
洋裁学校の学生・恵子は、偶然モデルのゆい子と知り合う。華やかで容赦なく人を魅きつける彼女に誘われるままに恵子もいつしかモデルの道を歩き始めた…。その世界は強い個性をみせながらどこか虚無のかげれをみせる男や女たちがいた。女がいちばん綺麗で、可愛いらしかった1960年代。さまざまな伝説と神話が生まれた高度成長のさなか、キラ星のごとく輝き、70年代の夜明けとともに燃えつきていった青春の状烈な愛と死の長編小説。
暴力団浜内組の幹部を追跡中、同僚を誤射した志田司郎は、刑事を辞し、妻子とも別れ、たったひとりで、波止場に単喰う巨大な暴力組織に立ち向ってゆく。近代経営の仮面の影に巣喰う悪との凄まじい闘い。日常を捨て“追いつめ”てゆく異常な執念を描く、日本にハードボイルド小説を樹立した画期的長編小説。直木賞受賞作品。
国家権力の介入によって、岬一郎を応援していた町内の人々の心が離れはじめた。確固とした信念のもと、日本政府の呼び出しに応じない岬一郎。最後の理解者で元雑誌編集者の野口志郎とともに、彼は孤独に追いつめられていく…。「日本SF大賞」受賞の著者渾身の力作大長編。
舞台は新宿裏通りのバー街。「ルヰ」のバーテンダー仙田を主人公に、彼の前を通り過ぎて行く、いろいろな男と女の哀歓漂う人間模様を描き出す連作。直木賞受賞の表題作をはじめ、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」など八篇を収録。
大学卒業間際、花咲美也は恋人の恋川圭介に絶交宣言をつきつけられる。唇は許しても、体は許してくれない美也に圭介は大不満なのだ。傷心の旅に出た美也だが、彼女の身辺で殺人事件が発生。その原因は、男と家を出ていった母親にあるらしいとわかって…。書き下ろし青春ロマン・ミステリー。