2001年4月18日発売
一九七四年。地方都市で暮らす十五歳の少年、山県龍二は、剣道部のキャプテンであり、全国大会ベスト4の実力者だった。ところが、卒業を間近にむかえたころ、クラスメートの重松正人が、いじめの対象になっていたことに気づいたことから、龍二の人生は狂い始めてしまう。正人の自殺、そして親友川辺の謎の死。腐敗した街の権力抗争に巻き込まれ、龍二は殺人犯の汚名を着せられることになり、故郷を捨てる決意をするのだが…。
故郷を捨て東京へ逃れた龍二は、そこで己の運命を変える、様々な人々と出会い、そして死とともに別れていった。如月やさち、朴たちの復讐を誓った龍二は、横浜黒龍会の周辺を調べまわる。そして龍二に心酔する木村たちによって「龍の会」が結成された。殺されたもの、殺したものの怨念や慟哭の中で、龍二は自分の背中に墓標となる龍の入れ墨をほり、やくざになることを決意する。龍二の運命の行方は果たして…。
会社社長の一人娘・仙道千紘は、ある日、見知らぬ女性から、父の会社が出したという奇妙な秘書募集広告を手渡された。まるで誰かを捜しているかのような文面に、父への不信感を募らせる千紘。だがその矢先、父が何者かによって殺害されてしまう。さらに、莫大な遺産を巡り、父の再婚相手と名乗る女性が現れて…。警察庁広域捜査官・宮之原警部が難事件に挑む、長篇旅情ミステリー。
福岡県甘木市の公園で、男が殺されているとの通報が入った。現場に駆け付けた捜査員たちが目にしたものは、男の胸に置かれた梅の枝と、胸元に狭まれていた短冊だった。その短冊には、謎めいた和歌が書かれていた。所持品から、被害者は暮れに倒産した月丘建設の常務であることが判明。警察庁広域捜査官の宮之原警部は、この事件の解決に乗り出すが…。傑作長篇ミステリー。
服飾デザイナーとして、女帝とも言われる鳥飼多佳子の家の前で、生後間もない乳児が捨てられる事件が起きた。その一週間後、熱海の錦ヶ浦で女性の絞殺死体が発見され、新宿のホステス・村瀬美奈であることが判明。彼女が捨て子の母親であったのだ。多佳子と美奈に何の繋がりがあるのか?警察庁広域捜査官の宮之原警部は、二人の関係を探るうち、美奈の出生に秘密があることを掴むが…。傑作旅情ミステリー。
旧知の新聞記者・今西の依頼により、“神隠し”と騒がれる女子大生蒸発事件を追って、警察庁の宮之原警部は、横浜を訪れた。今西の情報に従い、かつて世話になった広告会社の近野を訪問すると、そこの女子社員が、例の女子大生の友人だと判明。さらに宮之原は、近野から事件の鍵と思われる、最近地元で起きたトラブルを聞き出す。だがその晩、近野が急死し、事件は意外な方向へ…。宮之原が思い出の地で活躍する傑作ミステリー。