2003年10月25日発売
駅のホームで突き落とされそうになる。見知らぬ車に乗せられて誘拐されそうになるー。有数の財閥・山上グループの社長令嬢・山上かおりは何者かに命を狙われていた。困り果てたかおりが逃げ込んだのは、社会からドロップアウトし、奇妙な経歴を持つ八人が住む“梁山荘”というアパートだった。八人はそれぞれの特技を生かして襲撃犯からかおりを守り始める。かおりは目撃者として、棟居刑事の捜査する殺人事件の参考人に挙がっていた。事件は意外な接点で繋がり始める…。都会で蠢く人間の友情と殺意を描く、傑作社会派ミステリ。
サラリーマン・利根は、大学時代の同級生・野川からドイツ土産に“ベルリンの壁のかけら”を受けとった。壁が崩壊してから十年が経過している。なぜ、今頃ー。不審に思う利根の周りで、次々に不可思議な出来事が。目撃した射殺死体が消滅。親友・永井は「おれは、殺される!」と言い残し失踪。そして永井の妻は死体で見つかった。あの壁のかけらが、悲劇を巻き起こすのか?統一前のドイツと現代日本を結ぶ、壮大なサスペンス・ホラー。
DV(ドメスティック・バイオレンス)と悪徳マルチ商法。無関係に見えた二つの事件が捜査線上で繋がった時、青山署刑事・鳴沢了の長く熱い夏が始まった。NY市警の旧友との邂逅、関係者の怪死、ちらつく中国系マフィアの影。人間の欲望が渦巻く修理の世界を、鳴沢は一歩ずつ事件の核心へと近づいていく。その先に待つ哀しい真相に向かって-。鳴沢了シリーズ第三弾。白熱の警察小説。
ぼくたち夫婦は引っ越し運が悪い。今回の新居は完璧、だったはずなのに…ディンクスの夫婦は互いにぶつかりながら、隣家とまじわりながら、共に生きることを確かめあっていく。四季折々に紡がれた連作短篇『となりの花園』を縦糸に、いとおしい毎日のくらしを横糸に、カラフルに織りあげた12の物語集。
扉をあけるとオジギソウが挨拶をしてくれる、花に彩られた喫茶店。美しくミステリアスな店主とその娘が、悩める客が持ち込む謎を鮮やかに解き明かす。遠隔殺人、見えない密室、同時に4つの場所に出現した男…驚くべき不可解な現象の数々。その不可能が可能になるカタルシス。そして最終章で明らかになる壮大なる仕掛け。柄刀一は、本格を踏まえ、本格を超えた-。
永正五年(1508)、上野国赤城山の麓で生を享けた男子は、兵法修行に出た常陸国鹿島で神道流を学び、地元上泉に戻り陰流を伝授される。戦国乱世を一武将として戦うが、甲斐の武田信玄に降伏。しかし仕官を固辞し、自ら興した兵法新陰流を広める旅に出る-。上泉伊勢守信綱、兵法新陰流々祖。「生きて真剣の先に見る無刀の境地」とは。透徹した魂で兵法を極めた男の物語。
目の不自由な主人公を実体験しようと自らマスクで目をふさぎ、離れ小島・とむらい島へでかけた推理作家・高篠英麗奈。ところが、翌日、英麗奈とともに島へ渡った編集者・浅田が殺害されてしまう。島に残る海賊伝説同様、崖から突き落とされ竹に串刺しにされるという残忍な殺され方で、しかも、現場周辺にはハイヒールのあとが。だが、島には女性は英麗奈以外にいないはず…。犯人と疑われ思わず逃げ出した英麗奈だが、マスクの鍵は浅田がもったまま!絶体絶命の危機が迫る。