2006年12月31日発売
天使の眠り天使の眠り
京都の医学部大学院に勤務する秋沢宗一は、研究室助手の結婚披露宴で、偶然ある女性を見かける。それは13年前、札幌時代に激しく愛しあった亜木帆一二三だった。不思議なことに、もう中年であるはずの一二三は20代の若さと美貌を持った別人となっていた。昔の燃えるような感情が甦り、どうしても彼女のことが忘れられない秋沢は、女の周辺を探るうち、驚くべき事実を掴む。彼女を愛した男たちが、次々と謎の死を遂げていたのだ…。第14回鮎川賞を受賞した気鋭が放つ、書下し長篇ミステリー。
たがねたがね
本所の一膳飯屋「井筒」の看板娘お蔦は、鬼平も一目おいた名親分の忘れ形見。顔は悪いが、情の厚い御用聞き「不動の井蔵」に溺愛されて育った。太鼓持ち「たぬ忠」が持ってきたお蔦の見合い話を握り潰した直後、井蔵は相手がお手討騒ぎに巻き込まれたと知る。五両で我が子を売った哀しい母の顛末に、浮気医者源庵のおしゃべりが救った貧しい姉妹の話。御用達茶道具屋「洗心堂」の先代夫婦の夫婦愛を描いた全三篇を収録。
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