2006年9月22日発売
夜を走る トラブル短篇集夜を走る トラブル短篇集
血管の中を虫が走り、小さな大名行列が見えるーアル中のタクシー運転手は客を乗せたまま破滅街道をまっしぐら。ラジオ局の経理課長は、労組のストで無理矢理マイクを持たされ、放送事故続出の怪番組で大暴走。悪夢のような不条理と極限状況に壊れてゆく人々、その姿を笑うあなたの心もいつしか崩壊の一途を…。精神の強靱でない方は決して読まないでください。新発掘短篇「人類よさらば」も収録。
孤独か、それに等しいもの孤独か、それに等しいもの
今日一日をかけて、私は何を失ってゆくのだろうー。高校三年の初秋、ピアスの穴を開けようとする私に、恋人がささやいた一言ー大切なものを失くしてしまうよ。あれから九年を経て、私は決まりきった退屈きわまりない毎日を過ごしていた…(「八月の傾斜」)。憂鬱にとらえられ、かじかんでしまった女性の心を映しだし、灰色の日常に柔らかな光をそそぎこむ奇跡の小説全五篇。明日への小さな一歩を後押しする珠玉の作品集。
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