2009年4月12日発売
江戸。安政二年。紙卸商の跡取り息子・ジスケは、六歳の時に奇怪な巨大猫・鮒丸が逃げて以降、運気が下がり続けていた。周囲の婦女子の目線を奪う眉目秀麗なる男に成長したものの、終には着の身着のままの夜逃げをする羽目に。橋の袂の川原で死を待つばかりと相成ったジスケだったが、千里眼で名を馳せた塵点寺の謎の和尚に寺男として拾われる。救われた命、仏門に捧げよう、と日々の勤めをまじめに続けていたが、鮒丸と再会。ある晩、猫が枕元で告げる。自分は極楽浄土で普賢大菩薩の孫となる妖怪である。ただちに一緒に旅に出ろ、とー。
64年の時を越えてアメリカから届けられた一枚の楽譜「真夏のオリオン」。過酷な時代の秘められたドラマがいま甦る。第二次世界大戦末期。米軍の本土上陸を防ぐため出撃した潜水艦イー77号の若き艦長・倉本孝行。それを追いつめる駆逐艦パーシバルのスチュワート艦長。甚大な損傷を受けたイー77号に残された酸素はあと1時間。「俺たちは死ぬために戦ってるんじゃない。生きるために戦ってるんだ」。倉本と乗組員の知力の限りを尽くした作戦が開始された。『終戦のローレライ』『亡国のイージス』の福井晴敏が4年ぶりにおくるエンターテインメント映画を完全ノベライズ。
紬屋の太吉が、女房お悦の着物を仕立てるために藤屋に出入りするようになった。不幸にしてお悦は亡くなるが、そんな太吉を妹お房は慕うようになる。しかし、桂助の養父長右衛門と太吉の父親である貞右衛門との間には、今まで知らされていなかった過去があった。お房の気持ちを知り、ある日貞右衛門に呼び出された長右衛門だが、行方不明になる。貞右衛門もいなくなり、目撃証言が出て長右衛門に殺害容疑がかかる。それは、桂助を次期将軍にしようという岩田屋の陰謀だった!養父を守るために立ち上がった桂助の苦悩を描く、書き下ろし人気シリーズの第七作。