2010年4月20日発売
立ち並ぶ工場が次々と倒産し、人々が去ったゴーストタウン。迷路のようなこの町に殺人犯の金山が潜んでいた。片山たちとともに捜査にあたった笹井は、金山と間違えて同僚の若原を撃ってしまう。その現場を金山が見ていた!笹井は脅され逃亡の手助けを約束させられる。金山は笹井の娘・亜季子にも近付く。何も知らない彼女は、殺人犯に惹かれていくのだったー。
「馬の胎から産まれた少年」アディは、新教と旧教が争う三十年戦争の戦地を渡り歩きながら育った。略奪に行った村で国王にも金を貸すほど裕福な宮廷ユダヤ人の息子イシュアと出会う。果てない戦乱のなか傭兵となったアディは愛してはいけない女性に思いを寄せ、イシュアは権謀を巡らし権力を握ろうとする。二人の友情を軸に十七世紀前半の欧州を描く傑作歴史小説。
京都観光を楽しむカップルが、次々と謎の死を遂げ、古都への情死行が流行の兆しを見せ始めた。しかし、これは心中ではなく、他殺なのだ!確信を持って、捜査にあたった十津川警部は、嵯峨野の名刹・直指庵に辿り着いた。若者たちの真実の声を伝えるノートが、事件の鍵を握る。一二七万部のレコードを記録し、光文社文庫史上最大のベストセラーとなった傑作長編推理。
錺職人の夫が急逝し、家を追い出された後添えの八重。実の親子のように仲のいいおみちと日本橋に引っ越したが、向かいには岡っ引きも手を焼く猛女お熊が住んでいたからたまらない。しかも、この鼻摘み者の息子におみちがほの字の様子。やがて、自分たちを追い出した義理の息子が金の無心に現われる。渡る世間は揉め事ばかり?健気に暮らす母娘の明日はいかに。
いぼ俣軍兵衛と名乗る、疫病神のような男。風貌、性格ともに憎めない男だが、彼に金を貸した後家貸しの奈津が斬殺され、奈津の亡夫の秘密を握る男も川に浮いた。さらに北町奉行所与力の葛篭桃之進にも、鎌槍を持つ凄腕の刺客が迫る。やがて、いぼ俣も殺されるに至り、幕府の御用金をめぐる壮大な陰謀が判明。役立たずの“のうらく侍”桃之進が、怒りの剣を揮う。
自らも登山を行う、怪談専門誌『幽』で活躍する著者が山で訊き集めた数々の怪談実話。真夜中の野営地、吹雪のテント…外界でありながら閉ざされた地となりうる、山という「異界」の怖さに背筋が凍る珠玉の短篇集。
2カ月の結婚生活で、夫は召集、ノモンハンの戦場に倒れる。筑後平野を舞台に、戦争の時代を、懸命に生きた人々の魂の叫び。-夫を、父親を、戦争に奪われた農民一家の苦闘と、父の姿を求め、苦悶する姿を描く自伝的物語。